医療に供される水にはいろいろな種類がある。それぞれの場面で医療行為の目的にあった
水を選ばなければならない。選択を誤ると感染の機会が増加したり,経済的にマイナスだったりする。
医療に供される水の種類は表1のとおりである。
病院内では精製水を人型タンクに注ぎ足し使用している場合があるが,細菌汚染,とくに
Pseudomonas(Burkholderia)cepaciaなどの汚染につながることがあるので,必ず1回ごと
に洗浄乾燥した容器を使用することが重要である。
体腔内に使用できる水は無菌製剤である注射用水と生理食塩液しかないことも理解してお
く必要がある。生体消毒剤のうち,イソジン液(無菌製剤)を深い創傷に使用する場合の希
釈水としては,生理食塩液か注射用水を用い,水道水や精製水は用いない。口腔内に使用す
るイソジンガーグルは,常水で希釈して用いる。
最近,電解酸性水生成装置なるものが市販されているが,この装置は非無菌の装置であり,
食塩と常水を使用することから,生成された水は常水のレベルであると考えられる。
滅菌水,注射用水や生理食塩液は開封後は無菌でなくなるとみなさねばならない。
水の種類
| 製法など | 主な用途 | 局方収載 | 無菌製剤 |
常水 | 通例,水道水および井戸水を指す。 | 調剤用水,洗浄用水,飲料水など | ○ | − |
精製水
| 「常水」を蒸留,イオン交換,超濾過またはそれらの組み合わせにより精製した水。細菌による汚染に注意して用いること。 | 製剤原料など | ○ | − |
滅菌精製水 | 「精製水」を滅菌したもの。 滅菌ではあるが,発熱性物質を含有するおそれがあるため,注射剤の調製に用いない。 | 点眼剤などの調製水など | ○ | − |
滅菌水
| 「常水」を滅菌したもの。発熱性物質を含有するおそれがある。 | 調剤用水,洗浄用水 | − | − |
注射用水 | 「常水」または「精製水」の蒸留,または「精製水」の超濾過により注射剤の調整に用いるもの,またはこれを容器にいれて滅菌したもの。超濾過を用いる場合は, 微生物の膜透過に注意すべきである。 | 注射剤の調製 (注射用水を作製した後, ただちに用いる。一夜保存まで可とする) | ○ | ○ |
注射用蒸留水 | 「常水」または「精製水」を蒸留した場合,注射用水の別名として,「注射用蒸留水」と表示できる。 | 上に同じ | − | ○ |
生理食塩液 | 塩化ナトリウム(0.85〜0.95w/v%) と注射用水を注射剤の製法により製したもの。保存剤を含まない。 | 注射剤の調製 | ○ | ○ |
無菌製剤:無菌調製をして,無菌試験に合格した製剤
「医療の安全に関する研究会」ユニバーサルプレコーション実践マニュアル(南江堂)から引用