「同心円状」の接触者検診

 

「同心円状」の接触者検診とは、濃厚な接触者の順に検診を実施することをいう。

すなわち、結核患者との接触者には、家族、会社・学校の同僚・友人さらにその周囲の接触者などが存在するが、

通常濃厚な接触順に、感染・発病の危険は存在しており、いきなり全員の検診実施は適切ではなく、不必要な不安を生じかねないものである。

具体的には、家族に結核患者が発見されれば、まず検診を家族に実施する。

この範囲で感染者・発病者が発見されれば、接触者検診の範囲を次に接触が濃厚であった者に拡げなくてはならない。

職場や学校の同僚・友人に拡げ、ここでも感染者・発病者が発見されれば、さらに周辺の接触者へ検診を拡げることになる。

一方、感染者・発病者が発見されなければ、その時の範囲の接触者検診で終わってよい。

 

「同心円状」の接触者検診の実施

接触者検診の実施においては、いきなり入院患者、外来患者、面会者などに広げる必要は通常なく、

濃厚な接触順に同心円状に検診を実施する必要がある。

結核患者が一般病棟で発見された場合、周囲の接触者には、

@同室患者、A同病棟入院患者、B接触のあった職員、C面会者、D外来患者などが存在する。

感染源との同室者や職員で受持ちなどの頻回に接触のあった者は、多くの場合家族と同様な接触状況が考えられる。

病棟で食事や挨拶を交わす程度の接触の患者や病棟職員では、接触状況はおおむね学校や職場での友人や同僚の程度であろう。

外来患者において感染することはきわめてまれであり、通常は検診対象に入ることはほとんどない。

感染源と最終接触から8週経過した後のツ反陰性者は感染はなかった者と考えられる。

高松勇「一般病棟で結核患者が発生した場合の対応」

INFECTION CONTROL 2000 Vol.9 No.3, 43-44p


参考1 CDCのガイドラインにも同様のことが書いてあります。

Administer PPD tests to the most intensely exposed HCWs and patients as soon as possible after the exposure has occurred.

If transmission did occur to the most intensely exposed persons, then those persons with whom the patient had less contact should be evaluated.

If the initial PPD test result is negative, a second test should be administered 12 weeks after the exposure was terminated

 

訳注:PPDtest ツ反検査、HCW healthcare worker医療従事者

CDC, Guideline for preventing the transmission of Mycobacterum tuberculosis in healthcare facilities, 1994


参考2 ちょっと違いますが、結核予防会のマニュアルにはこんな記載もあります。

 

感染の可能性が高い場合にはツ反の対象年齢枠を拡大する。

この場合、一般にはツ反による感染の診断に相当の信頼性が担保される39歳程度までがツ反の対象として適当である。

しかし、周囲に既に二次発生患者がでていて、広範な感染が考えられる場合には40歳以上の者にもツ反と化学予防を行うことも検討する。

結核予防会「保健所における結核対策強化の手引きとその解説」から