消毒剤見なおしのための資料、 温水・熱湯消毒の積極的利用へ 

  尾家先生の言われるように、もっと温水(熱水)消毒を採り入れるべきである。

消毒剤を見直すための基礎知識(尾家先生による)

1.器具・リネン・食器はなるべく温水で消毒する
2.グルタラールの使用は内視鏡に限定する
3.ホルムアルデヒドガスでの室内熏蒸の禁止
4.ポビドンヨードは抗生物質ではない
5.クロルヘキシジン・塩化ベンザルコニウムは人体への使用濃度を厳守する
6.クロルヘキシジン・塩化ベンザルコニウム・両性イオン界面活性剤は使用中の細菌汚染に注意する

温水消毒の特性(小嶋先生による)

1.消毒効果が確実である
2.消毒中、火傷以外は生体には無害である
3.消毒後の残留物がなく安全である
4.経済的である
5.病因性公害(排水)にならない

表1 消毒剤の新分類(向野案)

超滅菌
滅菌
高レベル消毒
中レベル消毒
低レベル消毒
定義
プリオンを殺す 高濃度の芽胞菌を含む、すべての微生物を殺す 高濃度の芽胞菌を除く、すべての微生物を殺す 結核菌、すべての栄養型細菌・真菌、ほとんどのウイルスを殺す ほとんどの栄養型細菌、いくつかのウイルス・真菌を殺す
薬液
1.3%SDS(5分、100℃)
2.NaOH(1時間)
グルタラール(10-12時間) 1.ホルマリン
2.グルタラール(5-10時間)
1.エタノール
2.ヨード
3.フェノール
4.次亜塩素酸Na
1.クロルヘキシジン
2.塩化ベンザルコニウム
3.塩化ベンゼトニウム
高圧蒸気
135℃、20分 121℃、20-40分
-
-
-
温水・熱湯
-
-
-
100℃、2-5分 80℃、2-5分
適用
ヤコブ病 侵襲的物品(組織・血管内) 半侵襲的物品(粘膜接触) 非侵襲的物品
物品
穿刺針など メス、穿刺針、血管カテーテル 舌圧子、内視鏡、膀胱鏡、肛門鏡、サクションカテーテル 保育器、哺乳瓶、酸素マスク、尿・便器、蓄尿瓶、膿盆、体温計、聴診器、血圧計

表2 温水の消毒効果(尾家)

*消毒前に洗浄により有機物の除去を行うこと。

一般細菌(大腸菌・MRSAなど) 80℃、5秒間
HIV              80℃、1分間
HBV             100℃、2分間  
結核菌             100℃、5分間

表3 各国のリネン熱消毒ガイドライン

英国:65℃、10分間以上
   71℃、3分間以上
米国:71℃、15分間以上
ドイツ:90℃、15分間
日本:80℃、10分間以上

欧米では病院リネンは熱湯消毒するようガイドラインで定めており、化学消毒は認めていない。

福岡大学病院洗濯室:洗濯機120℃、30分以上。乾燥機100℃、60分以上

表4 器具の熱消毒ガイドライン

ドイツ:93℃、10分間
英国:71℃、3分間
   80℃、1分間
   90℃、1分間

福岡大学病院:ウォッシャーディスインフェクター=93℃、10分、食器洗浄機=80〜85℃、3分、乾燥機85℃、40分

表5 2%グルタラールの抗菌力(尾家)

微生物        滅菌時間
一般細菌
酵母様真菌      2分間
HIV
HBV         4分間
結核菌        20分間

表6 HIVの消毒法(WHO)

次亜塩素酸      0.5%、10-30分
ホルムアルデヒド    5%、10-30分
エタノール      70%、10-30分
グルタラール      2%、10-30分
煮沸           20分
オートクレイブ    121℃、20分

●熱湯・温湯について   波多江新平先生より

熱湯の定義:日本薬局方13局の通則に記載されています。
ユニバーサルプレコーション実践マニュアル、P54にもあります。
100℃の熱湯で、沸騰直前のことです。
しかし、標高630mの信州大学では、常圧では100℃になりませんが、 沸騰直前の湯として差し支えありません。
UPについては、国によって範囲が、体液まで含む場合と、排泄物まで含める場合が若干異なる部分がありますが、
広義の意味では、世界中同じと考えます。 目視できる、湿った排泄物までで、汗と唾液は、一般的に除きます。
イギリスの、国立看護大学が、1994年にだしているUPは、CDCとは、範囲が違います。
むしろBSIそのものかも知れません。

Hot water は、私は、温湯(60〜70℃)と訳します。
掃除の時、100℃の熱湯では、火傷の危険があることと、湯は直ぐに冷えますので、
本来消毒を目的にしているのではなく、汚れを取れやすくしているのです。
器具、器械の場合は、必ず温度、時間が指定してある(例えば80℃10分とか)はずです。
80℃の場合は、熱湯・温湯として表現しています。(ユニバーサル実践M,厚生省ハンドブック)