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強酸性水の一般的な評価について報道機関などで大きく扱われたこともある強酸性水について,どのような評価をされているのか教えてください。 A22
現在話題となっております強酸性水は,通常の水道水などに食塩を微量添加し,電気分解することによって得られる水で,pH2.7以下,酸化還元電位1,OOOmV以上,塩素濃度30ppm以上などの性質を有しています。この強酸性水を生成する電気分解器は現在いくつかの会杜から販売されており,各機種によって得られる強酸性水の性質は若干異なりますが,いずれもその高い酸性度(水素イオン濃度),酸化遠元電位,溶存塩素の作用で各種細菌に対する殺菌効果が認められています。
この強酸性水の殺菌効果については,すでに学会にていくつかの施設から報告されておりますが,私たちも強酸性水の殺菌効果を通常よく用いられている消毒薬のヒビテン,イソジンと比較検討しましたので,その結果をここにお示しいたします。試験菌としては黄色ブドウ球菌(MRSA,MSSA),大腸菌,緑膿菌を用い,これらの菌の約107を蒸留水(Distilled
water),強酸性水(Oxidative ionized water),ヒビテン液(O.1w/v%Chlorhexidine),イソジン液(O.02w/v%Povidone
iodine)のそれぞれに10秒間,60秒間,180秒間作用された際の菌数の減少の程度を測定し,殺菌効果を比較検討しました。その結果を図1(MRSA),図2(MSSA),図3(大腸菌:E.coli),図4(緑膿菌:P.aeruginosa)に示します。 図1,図2にみられますように,MRSAに対しては1O秒間の作用で菌数はかなり減少し,60秒問の作用では菌数は1/1,000以下の検出限界以下に減少しており,イソジンよりはやや劣るもののヒビテンよりは明らかに強い殺菌効果を示しています。また,MSSAに対しての強酸性水の殺菌効果は,ヒビテンよりも強く,イソジンとほぼ同等で,10秒問の作用で検出限界以下の菌数に減少しており優れた殺菌効果を示しています。また,図3,図4に示しました人腸菌,緑膿菌に対しても,ヒビテンよりやや優れ,イソジンとほぼ同等で,やはり1O秒問作用で'菌数は約1/1,OOO以下に減少しており,優れた殺菌効果を示しています。 今回私たちが行った殺菌効果の基礎的検討では,強酸性水は従来の消毒薬とほぼ同等の優れた殺菌効果が認められました。この殺菌効果の一点については強酸性水は評価できると思われます。また,実際に強酸性水は通常の水道水と比べ軽度の塩素臭がする程度で,手などでの感触も通常の水道水と何ら変わりがなく刺激性は全くありません。院内感染の対策上,消毒薬の果たす役割は大きく、とくに手洗いにおいてその適切な使用は重要ですが,消毒薬に対する耐性菌の問題や頻繁な使用による手荒れなどの問題が指摘されています。その点,強酸性水は,その優れた殺菌効果に加え,無色透明でやや塩素臭があるものの皮膚への刺激性がほとんどないことから,とくに手洗いの際に用いる洗浄消毒薬としての有用性が期待されており,現在全国的には実際に強酸性水を手洗いに臨床応用している施設もみられています。また,手洗いのほか,病院内の床の洗浄に消毒薬の代わりに強酸性水を利用するなど病院内環境の消毒を目的として利用している施設もあります。また,学会などでは皮膚の消毒などでの使用例の発表がなされ,その有用性も報告されていますが,厚生省は強酸性水を消毒薬としては認可していないこともあり,その使用については十分な注意が必要であり,今後の経過を見守っていく必要があるものと思われます。また,強酸性水は塩素を含むため,蛋白質などの有機物の存在で殺菌効果が減弱することや,金属などに使用すると金属が腐食するため,金属などの消毒には使用できないなどの問題点も残されていますので,使用するとしても,現時点では手洗いや病院の床などの洗浄にとどめておかれるのがよいのではないかと思われます。(図略) Q23
冑内視鏡に対して強酸性水は消毒効果がありますか先日NHKテレビにて強酸性水の消毒について放送があり,その中で強酸性水を入れた機械が発明されており,その装置で胃内視鏡の消毒が1O秒で済むという内容があったそうです。当院では,胃内視鏡の洗浄消毒は逆性石けん液O.1w/v%で30分浸漬して洗浄しています。強酸性水そのものについてと,私たちの現状の方法についてご教示ください。 A23 強酸性水についてのお尋ねですが,食塩水の電気分解産物を殺菌に応用する機器は,現在多数のものが研究され,売り出されております。このような機器により産生された電解水は,機器の性質により多少の相違があります。電解産物も超酸化水,アクア酸化水など,さまざまな名称で呼ばれております。登録商標になっている名称もあります。 電解水はpH,残留塩素濃度,酸化還元電位などで殺菌力が生じると考えられておりますが,細菌ではpHそのものはあまり重要ではなく,その他の成分によって消毒効果が規定されると考えられるようになってきました。あまり酸性度の強くない産生水を作る機械も売り出されております。 このような電解水はランニングコストが安く,廃棄に問題が少ないなど多くの利点があますが,十分検討して応用することが望ましいと考えられます。私たちの検討では,使用した九州松下電器製の強酸化水はMRSAを含む多くの細菌を滅菌します。しかしながら,わずかの蛋白成分により殺茜力は極端に低下してしまいます。したがって,器具の消毒にはよく洗浄し,全く蛋白成分の付着していない状態で消毒する必要があります。 お尋ねでは胃の内視鏡の消毒に用いたいとのことですが,蛋白成分を丹念に洗浄した後では消毒効果は十分期待できるものと思いますが,金属部分の腐食に注意が必要です。胃内視鏡については,MRSAの感染防止が問題となりますが,とくにB型肝炎,C型肝炎さらにATL,HTLといったウイルス性疾患の感染が問題となるかと思われます。そのときに逆性石けん液O.1w/v%では問題であり,次亜塩素酸ナトリウム,グルタラール液(ステリハイド)を用いる必要があるでしょう。 Q24
MRSAの褥瘡感染に対して強酸性水は効果がありますか脊損による褥瘡に加えてMRSAに感染し困っております。イソジンゲル,アミノグリコシドの局部使用をしてみましたが効果はありません。現在有効な抗生薬もなく,酸性水を試みたいと思いますが,pHはどのくらいのものがよろしいのでしょうか。 A24MRSA褥瘡感染例の一般的対応については,文献(日内会誌82:1221〜1225.1993)を参考にしてください。褥瘡の局所処置を行ううえで重要なことは以下の点です。 (1)深部膿瘍の切開排膿,壊死組織の切除。 (2)消毒前に浸出液などの蛋白成分を洗い流すこと。とくにポビドンヨードは,蛋白成分が多いと効きません。 (3)ゲンタマイシン,アルベカシン(ハベカシン),バンコマイシン,ムピロシンなどを局所処置に用いないこと。これら薬剤に耐性化し,耐性菌蔓延が危倶されるためです。 (4)局所消毒薬はMRSAに有効で,局所刺激のないものを用いること。 局所消毒用としては種々のものがありますが,アクア酸化水もその一つです。微温湯として,1日2〜3回,洗浄に用います。酸性水製造器には各種ありますが,pH2.5前後のものを用います。 強酸性水の褥瘡に対する効果については,pHが問題ではなく,酸化遠元電位,塩素関連物質の高値が殺菌効果の主体です。褥瘡では40℃ぐらいの湯煎が効果的と報告されています。
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